モーツァルト・カフェ|名曲・おすすめ作品・エピソードなど

不世出の天才作曲家W.A.モーツァルト。その名曲・代表作・おすすめ作品をはじめ、生涯や音楽上のエピソードなどをご紹介します。

Mozartゆかりの都市(1)―ザルツブルク

モーツァルトは、その生涯のうち約10年、実に人生の4分の1以上を旅の空の下で過ごしました。

 

そのため、36年という短い人生にもかかわらず、さまざまな都市を訪れています。

 

そこで、彼と関係の深いヨーロッパ各地の都市を、訪れた年代順に取り上げ、「モーツァルトゆかりの都市」と題して何回かに分けてご紹介していきたいと思います。

 


その一回目に取り上げるのは、もちろん「ザルツブルク(Salzburg)」。

 

あらためて言うまでもなく、モーツァルト生誕の地です。

 


現在のザルツブルクはオーストリアに属し、ザルツブルク州の州都として約15万人の人口を抱える地方都市ですが、モーツァルトが生きた時代には、「ザルツブルク帝国領主大司教領」と呼ばれ、神聖ローマ帝国の一部として、カトリック教会の大司教が統治する、独立した一種の教会国家でした。

 

ちょうど、現在のバチカン市国と同じです。

 

モーツァルトがそのキャリアをザルツブルク宮廷音楽家として踏み出した当時、ザルツブルクの領主はシュラッテンバッハ伯ジークムント3世で、この大司教はモーツァルト親子の活動に対して非常に寛大でした。

 

しかし、その後を継いだコロレード伯ヒエローニュムスはまるで反対で、モーツァルトの物語の中では悪役としてしばしば登場しますから、この名前はおなじみかもしれません。

 


ところで、ザルツブルクという地名は「Salz(ザルツ:塩)」+「Burg(ブルク:砦)」からきており、15キロほど南にあるハライン(Hallein)から輸送されてきた岩塩をザルツァッハ(Salzach)川からヨーロッパ各地に送り出す基地となっていたところから名付けられました。

 

モーツァルトは、ここザルツブルクの中心部に位置するゲトライデ・ガッセ(ゲトライデ小路)で誕生したのです。

 

時に、1756年1月27日。

 

 

 


ザルツブルクはこのことで世界中に名を知られているわけですが、それに加えて中世の面影を色濃く残した美しい町であることから、ユネスコ世界文化遺産に指定されています。

 

その中央には先にも名前を挙げたザルツァッハ川が南から北に流れ、現在その西側が旧市街、東側が新市街と呼ばれています。

 

ザルツブルクの象徴とも言える大聖堂やホーエンザルツブルク城、さらにモーツァルトの生家といったおもな観光スポットのあるのは旧市街。

 

一方、ミラベル宮殿・州立劇場・モーツァルテウム音楽院などは新市街に属しますが、これらもザルツァッハ川を渡ったすぐのところに位置していますので、観光で宿泊するなら旧市街がおすすめです。

 


もうずいぶん前のことになりますが、ある年の三月、私はザルツブルクを訪れ、そのときは旧市街のガストホーフ(ドイツの民宿)に泊まりました。

 

無論、高級ホテルのような至れり尽くせりのサービスや最先端の設備はなかったものの、その反面、時代を経た建物や調度などに囲まれて、往時の情趣を味わえたように思います。

 


さて、最後に、ザルツブルクへ行かれる際にはぜひ見ていただきたい「おすすめ」をご紹介しておきましょう。

 

それは、けっこう有名なもので、「看板」です。

 

ゲトライデ・ガッセの看板

 

昔、文字の読めない人が多かった時代には、何を扱う店かが一目で分かるよう、看板に工夫を凝らしました。

 

それが脈々と受け継がれており、今でも小さな通りに立ち並ぶいろいろなお店の看板にはユニークで美しいものが多く、それを眺めているだけで楽しい気分になれること請け合い。

 

特に、モーツァルトの生家のあるゲトライデ・ガッセは素敵な看板のオンパレードです。

 

そして、これを堪能した後で(または前に)は、同じ小路にある「カフェ・モーツァルト」で、伝統のお菓子ザルツブルガー・ノッケルンをどうぞ。