モーツァルト・カフェ|名曲・おすすめ作品・エピソードなど

不世出の天才作曲家W.A.モーツァルト。その名曲・代表作・おすすめ作品をはじめ、生涯や音楽上のエピソードなどをご紹介します。

速度記号と発想記号

前回、モーツァルトの「交響曲第29番イ長調 K.201」は

 

・第1楽章 アレグロ・モデラート(Allegro moderato)
・第2楽章 アンダンテ(Andante)
・第3楽章 メヌエットとトリオ(Menuetto/Trio)
・第4楽章 アレグロ・コン・スピリート(Allegro con spirito)

 

という構成であるとご紹介しました。

 

mozart-cafe.hatenablog.com

 

これらはクラシック音楽ではよく目(耳)にする言葉ですが、何のことだか分からないという方も多いようですので、ここで簡単にご説明しておきましょう。

 


「アレグロ」「アンダンテ」などは速度記号といい、文字通り曲の速さを表す言葉です。

 

この2つを含め、代表的な速度記号を遅いものから順に並べると

 

ラルゴ(Largo)、レント(Lento)、アダージョ(Adagio)、ラルゲット(Larghetto)、アンダンテ(Andate)、アンダンティーノ(Andantino)、モデラート(Moderato)、アレグレット(Allegretto)、アレグロ(Allegro)、プレスト(Presto)

 

となります。

 

ただ、これらは1分間に何拍といった数値的な速さとして厳密に規定されたものではないので、同じ速度記号が指定された曲であっても、作曲家や指揮者、演奏家によってかなり幅がでるのです。

 

 

 


一方、「スピリトーソ」「マエストーソ」などは演奏にどのような表情・雰囲気をもたせるかを指定する言葉で、発想記号と呼ばれます。

 

例えば、モーツァルトの作品においてよく目にするものとしては、前出の「スピリトーソ(spiritoso)」「マエストーソ(maestoso)」の他、

 

ヴィヴァーチェ(vivace, 快活に)、カンタービレ(cantabile, 歌うように)、グラツィオーソ(grazioso, 優美に)、アモローソ(amoroso, 愛らしく)

 

などがあります。

 


なお、速度記号、発想記号ともに、基本的にイタリア語で指定されるということも覚えておくとよいでしょう。

 

K.201第四楽章の「コン・スピリート(con spirito)」も、"with spirit"のイタリア語、「前置詞+名詞」の形をとって「スピリトーソ」と同じ指示を表しています。

 

コン・モート(con moto, 動きをつけて)、コン・エスプレッシオーネ(con espressione, 表情豊かに)も同様で、それぞれ"with motion"、"with expression"です。

 


今後、曲をお聴きになる際に、今回ご紹介したことを頭の片隅にでも置いてみてください。

 


ちなみに、「メヌエット」や「ロンド」などは楽曲の形式の一種、また、「アレグロ・アッサイ」等における「アッサイ(assai)」は"very"に相当するイタリア語です。