クラシック音楽の楽曲は、大きく声楽曲と器楽曲に分けられます。
声楽曲というのは、文字通り人の声(歌)を伴った曲であり、器楽曲は楽器だけで奏されるものです。
そして、これら二つは、いくつかの視座からそれぞれさらに細かく分類されます。
初めに、器楽曲についてみると、指揮者を立てて大人数のオーケストラにより演奏される、おなじみの交響曲(シンフォニー)、協奏曲(コンチェルト)、セレナード/ディヴェルティメントなどに加え、指揮者なし、10本くらいまでの楽器により奏でられる室内楽曲があります。
この室内楽曲としては、弦楽四重奏曲や五重奏曲、ピアノソナタ、ヴァイオリンソナタなどが代表的なものでしょう。
一方の声楽曲に目を転じてみますと、演劇や美術の要素をも包含した総合芸術として圧倒的な存在感を示すオペラがありますが、ピアノやヴァイオリンの伴奏で歌われる歌曲(リート)も、声楽という野原に咲く可憐な花として捨てがたい魅力を具えています。
また、あえて声楽曲・器楽曲の範疇には入れませんでしたが、やや特殊なジャンルとして、ミサ曲、教会ソナタ、レクイエムといった宗教音楽も、クラシック音楽の重要な要素というべきかもしれません。
さて、モーツァルトは、その36年に満たない短い生涯に千に近い数の曲を残しました。
その数の多さだけではなく、彼が作曲の対象としたしたジャンルの広さにも特筆すべきものがあります。
モーツァルトは、クラシック音楽におけるすべてのジャンルにおいて作品を残しているといっても過言ではないくらい、レパートリーの広い作曲家なのです。
そして、どのジャンルのどの作品をとっても、まず非の打ちどころのないすばらしい曲に仕上がっていることを忘れてはならないでしょう。
先に、ややフライング気味に、「モーツァルトと変奏曲(バリエーション)」をご紹介しましたが、これから漸次、数回に亘って、モーツァルトが作品を残した各ジャンルを取り上げ、まずはそれらに含まれる曲の概観を大きく見ていきたいと思います。
もちろん、各ジャンルにおける代表作をお聴き頂きながら。
今回はそのプレリュード(前奏曲)というところです。